「Open Kitchen」とは?海藻の未知なる美味しさを探求する、食と対話のプログラム
東京・八重洲の拠点2階に開設した、SEAVEGE- Kitchen Labは、シーベジタブルが運営する料理人による海藻の研究開発拠点です。料理人の視点で海藻を捉え、食材としての可能性を探るための実験の場として、日々さまざまな試作や海藻の品質管理の検証が行われています。
自社だけの研究に留まらず、外部のプロフェッショナルたちと交わりながら、海藻のまだ知られていない魅力を引き出し、広げていくチームです。
そんな日々の実験や、ときには外部との交わりから生まれるリアルな熱量を、普段は非公開のキッチンをひらいて直接お届けする体験プログラム。それが「Open Kitchen」です。
8名という少人数・完全予約制で開催されるこのプログラムでは、海藻に関する知識を学びながら、海藻を取り入れた調味料や料理を楽しむコース仕立てのテイスティングを通じて、参加者の皆さんと共に対話を深めていきます。

「Open Kitchen」とは何か
「Open Kitchen」は、レクチャーと、海藻を主役にした複数の料理やドリンク、調味料などを味わう体験で構成された、120分のプログラムです。
この場で私たちが大切にしているのは、一方的に知識を伝えることではありません。参加者の皆さんがその場で感じたことや疑問も含めて、共に海藻という食材への理解を深めていくプロセスそのものです。食べながら、考えながら、対話を通して、今まで知る機会のなかった海藻の新しい表情に出会っていく時間を提供しています。
【前半】感覚を研ぎ澄ます、レクチャーとテイスティング
プログラムの前半では、海藻の基本的な分類である「緑藻・褐藻・紅藻」の違いに触れながら、SEAVEGE- Kitchen Labで開発した発酵調味料やオイルなどを用い、香り・味わい・食感の違いを実際に体験します。単なる知識としてではなく、「なぜこの違いが生まれるのか」「どう扱うと特徴が引き出されるのか」を、自身の五感を通して理解していきます。

【後半】海藻が主役となる、実験的なコース体験
後半では、海藻がひとつの食材としてどのように料理に組み込まれるのか、一皿ずつ順に味わっていただきます。料理内容は、季節や海藻の生産現場の状況、反映される研究の進捗によって常に変化します。

料理人の視点による海藻の研究開発の「途中」に触れるということ
SEAVEGE- Kitchen Labで海藻の研究開発に取り組むシェフは、日々海藻と向き合い続けており、その時間は世界的に見てもトップクラス。「Open Kitchen」で提供される料理や調味料の多くは、完成されたものばかりではなく、試作や開発の途中にあるものを共有することもあります。
海藻をどのように加工するのが最適なのか。どのような組み合わせによって、新たな味わいや体験が生まれるのか。そうした問いに対して、いまだ明確な答えが定まっていないものを、いま美味しいと思う形で提供します。
だからこそ、この場では参加者の視点が重要になります。味わって感じたことや疑問は、そのまま次の開発につながるヒントになります。食べることと考えることが同時に進んでいく中で、海藻という食材の理解を少しずつ深めていきます。

常識を覆し、未知の素材に命を吹き込む「食の再発見」
SEAVEGE- Kitchen Labが目指すのは、自社内での研究に留まらない、食の未来を広げるオープンな共創です。
その挑戦の一例として、これまでに革新的な蒸留酒造りに挑むクラフトジンブランド「エシカル・スピリッツ」とのコラボレーションイベントなどを開催してきました。エシカル・スピリッツが持つ独自の「素材との向き合い方」と、シーベジタブルが提案する「海藻の価値」。食べること、飲むこと、そのすべてを通して次々と新しい発見が生まれ、参加者の皆さんと共に海藻のポテンシャルを分かち合う場となりました。
これまでの常識を覆し、まだ誰も見たことのない未知の素材に命を吹き込んでいく。そんな「食の再発見」を、コラボレーションのパートナーや参加者の皆さんと共に楽しみ、実験を重ねていくことこそが、このラボの原動力となっています。

空間と器も、体験の一部として感じる
「Open Kitchen」では、料理そのものだけでなく、それを取り巻く空間や器もまた、体験の一部として設計されています。
それぞれの技術者が、海藻という素材と向き合い、自身の技術と掛け合わせどのように美しく整えるか、試行錯誤をして仕上げた作品が盛り込まれています。様々なつくり手と対話を重ねながら、美しさや用途を、体験に合わせて整えた洗練されたものばかりです。
SEAVEGE- Kitchen Labの料理・商品開発リーダー 塚本みなみは、料理と器の関係について、次のように話します。
塚本:料理と陶芸は、プロセスがとても似ていると感じています。素材と向き合いながら、試行錯誤を重ねて、少しずつ形になっていく。その積み重ねの先に、ひとつの表現が生まれるという点で、共通しているのかもしれません。

店舗内には、海藻を使った照明が施され、まるで海藻の世界に包まれているような感覚を与えます。
頭上を彩る「海藻シャンデリア」には、クロメ、マクサ、アナメ、アツバノリ、ベニスナゴ、ヤツマタモク、ジョロモクなど10種類以上の本物の海藻を使用。三層構造のステンレスフレームが下からの光を浴び、まるで水中から水面を見上げるような美しい影を空間に落とします。

さらに壁面には、白土をベースに「海藻灰」を釉薬として使用して焼かれた約430枚のタイルが、一枚の絵のように配置され、空間全体の雰囲気を深く静かに引き立てています。

料理・空間・器がそれぞれ独立するのではなく、ひとつの連続した体験として構成されていること。それもまた、「Open Kitchen」の特徴のひとつです。
なぜ、キッチンをひらくのか
海藻は、日本の食文化の中で古くから親しまれてきた食材です。一方で、その多くは塩蔵や天日干しといった、伝統的かつ合理的な方法で保存・流通されてきました。しかし、それだけで海藻の持つ本来の個性やポテンシャルを、十分に引き出しきれているのだろうか。
そうした問いに向き合うSEAVEGE- Kitchen Labは、世界を見渡しても、海藻の探求における最前線の場所です。海藻の発酵調味料の開発や新しい加工方法の検証など、これまでにないアプローチを試みながら、海藻を「新しい食材」として再定義しています。
これまでにSEAVEGE- Kitchen Labで扱ってきた海藻は100種類以上。日本には約1500種類を超える海藻が生息していますが、それぞれの特徴を見極め、食材としての可能性を探り続けてきました。
こうした取り組みは国内にとどまらず、海外のトップシェフからも「これほど体系的に海藻に向き合っているチームは世界でも類を見ない」と、高い関心を集めています。
実際に、ラボから生まれた大豆を使用しない新発想の調味料「青のりしょうゆ」は、すじ青のりと米麹を組み合わせた革新的な試みとして国内外から注目され、デンマークのレストラン「Noma」が京都で開催した「Noma Kyoto 2024」でも採用されるなど、その可能性が世界へと広がり始めています。


終わりのない探求の、その「過程」を共にする場所
SEAVEGE- Kitchen Labでの取り組みは、現在も進化を続けています。たとえば、海藻と甘味(デザート)の組み合わせによる新たな表現の可能性の探求もその一つです。料理・商品開発リーダーの塚本は、今後の展開について次のように話します。
塚本:毎日海藻に向き合っていますが、それでも、まだ試してみたいことがたくさんあります。料理としての可能性はもちろん、デザートやドリンクなど、これまであまり試されてこなかった領域にも、新しい表現が生まれる余地があると感じています。今後は、調理手法や組み合わせについても、他分野のプロフェッショナルの知見を取り入れながら、海藻の新たな魅力を発見し、これまでにない食体験として構築していきたいです。
「Open Kitchen」は、完成された答えを受け取る場所ではなく、海藻の可能性を広げていく「現在進行形のプロセス」に触れることができる場です。未知の素材に命が吹き込まれるその瞬間の興奮と驚きを、ぜひこの場所で体験してみてください。

SEAVEGE- Kitchen Lab
| 住所 | 東京都中央区八重洲1丁目5−11 2階 |
| アクセス | JR東京駅 八重洲北口から徒歩3分 東京メトロ 日本橋駅 B3出口から徒歩3分 |
| 営業時間 | 週2日 13:00〜 / 15:00〜 / 18:00〜(約2時間制) |
※現在、不定期営業となります。詳しくは公式Instagramや予約ページ(Peatix)をご確認ください。
Open Kitchen ご予約ページ
料理人の視点による、海藻の研究開発の最前線へ。120分の特別な食体験と対話の時間を、ぜひお楽しみください。
SEAVEGE- Kitchen Lab 料理・商品開発リーダー塚本みなみ

SEAVEGE- Kitchen Labを率いる塚本は、2022年よりシーベジタブルに加わりました。nomaの姉妹店「INUA」で勤務していた際、同店でともに働いていた石坂秀威(元シーベジタブル料理開発担当/シェフ)との縁をきっかけに海藻に興味を持ち、2021年頃からシーベジタブルの取り組みに関わるようになりました。キャリアは東京の外資系5つ星ホテルからスタートし、その後、上海やシドニーで活動。農業や畜産にも携わりながら生産者と交流する中で、自然と食文化のつながりへの関心を深めてきました。現在はSEAVEGE- Kitchen Labを率いながら、海藻という食材の可能性を広げる料理や商品、食体験の開発に取り組んでいます。
