はばのりごはん

IMG_9328.jpg
左が乾燥はばのり
右がそれを焼いたもの

PXL_20220306_025640350.PORTRAIT.jpg
200度のトースターで20秒ほど焼く綺麗な緑色になります。フライパンで空炒りでもOKです。

PXL_20220306_030339346.PORTRAIT.jpg
はばのりの美味しい食べ方の定番中の定番であり、
この食べ方が一番ではないか?との呼び声が高いのが
『はばのりごはん』です。
材料は、はばのり、ごはん、しょうゆ。
しかし、
ただご飯にはばのりをのせて醤油をかけて食べるというシンプルなものではないようで
特に、はばのり人気の高い、三重県尾鷲市(おわせし)では
はばのりをまず醤油に浸してから、それをごはんにのせて食べるのが基本らしいのです。
一体、何がどう違い、美味しくなるのか?
そしてなぜそんなにも人気なのか?
このあたりを検証していきたいと思います。

PXL_20220306_030235427.PORTRAIT.jpg
まずは、ごはんに焼いたはばのりをのせて
その上からしょうゆを回しかけるパターン。

PXL_20220306_030339346.PORTRAIT.jpg
えっ!?これ、すでに物凄く美味しいんですけど。。。
普段、日常的に食べている海苔(主にスサビノリなど)や、アオノリなどと全く違う。
表現するなら、海苔とワカメと昆布を合わせたような旨味と香り。
そこにお米と醤油が加わることで、
僕の口の中で感じた印象は、磯辺餅(いそべもち)!
あの、焼いたお餅に醤油を付けて海苔で巻いたやつです。
うまいなー。
海藻が好きな息子たちも、はばのりは独特なクセがあったのでこれまで食べませんでした。
でも、この食べ方ならきっと食べるんじゃないか?
そう思い、お昼ご飯前のちょっとお腹が空きはじめてきている時間帯を狙って
息子たちに一口ずつ食べさせてみたところ
『うま! おかわりー!』 ・ 『もっとたべたーい!』 と嬉しい反応が返ってきました。

この時点で、
【子供にも大人気、はばのりの美味しい食べ方。】
一旦終了! でもよいのではと思うほど好評でした。

PXL_20220306_025857372.PORTRAIT~2.jpg
次は、尾鷲流(おわせりゅう)
焼いたはばのりにあらかじめ醤油をかけて

PXL_20220306_030043152.PORTRAIT~2.jpg
しっとり、となったはばのり。
もう、この時点で美味しい香りが漂ってきています。PXL_20220306_030722334.PORTRAIT.jpg
これを熱々のごはんの上にのせると、
なんとも食欲をそそる香りが漂います。

PXL_20220306_030729512.PORTRAIT.jpg
う、うまい。

はばのりに、醤油が染みたと思いきや、
醤油に、はばのりが旨味をのせた格好になっています。
一回目は、醤油の量が多過ぎたようで、塩辛い佃煮のようになってしまいましたが
醤油の量を加減すると
『とてつもないごはんのお供』に変身します。
おにぎりにこれが入っていたら、涙出ちゃうわきっと。

PXL_20220306_031557174.PORTRAIT.jpg

次は、別の地域の食べ方
焼いたはばのりとかつおぶしを混ぜたもの。

今回は、
焼いたはばのりとかつおぶしを1:1で混ぜてみました。

PXL_20220306_031717454.PORTRAIT~2.jpg
まずは、そのままごはんにのせて、上から醤油かけるパターン。

PXL_20220306_031834789.PORTRAIT.jpg
うまーーーーーーーーーい!!!!!
テンション爆上がりです。
さすがの相性に、これはご飯が止まりません。

PXL_20220306_032337072.PORTRAIT~2.jpg
そして最後は、
はばのりとかつおぶしを混ぜて、あらかじめ醤油をかけて
しっとりとさせたやーつ。

PXL_20220306_032624803.PORTRAIT.jpg
熱々ごはんにのせたら、香りがすごい!
はばのりの魅惑的な香りと、本能をくすぶられるかつおぶしの香りのセッション。
炊き立てごはんのあの香り。
もはや、『食べるJAZZ(ジャズ)』です。

PXL_20220306_032644540.PORTRAIT.jpg
その、お味は。
『ピピーーーーッ!!』
美味し過ぎて反則、レッドカードで一発退場です。

はい。

今回わかったことですが、
結論から申し上げますと、どれも全部美味しいです。
はばのり、美味しいです。
最後はそれぞれの好みというところですが
用途で変えるのも良いかもしれません。
ふわふわふっくらと柔和なごはんに見せたいとき、
おにぎりのまわりにワシャワシャまぶしたいとき、
互いの旨味を出し合った、染み染みを熱々のごはんと一緒に口の中で爆発させたいとき、
おにぎりの中にしっとりと忍び込ませたいとき。

ぜひ、皆様の好きなはばのりの食べ方
みつけてみてください。

さらに詳しい【はばのりブログ】はこちらから

 

 

岡田 大介(おかだ だいすけ)/ すし作家・海藻料理研究家

1979年生まれ。すし職人歴27年(2024年現在)、東京都文京区にてすし屋「酢飯屋(すめしや)」を経営。

生きものが食べものになるまでを突き詰めるために、すし職人の観点を常に持ちながら、まな板の上だけでなく海に潜ったり、釣りをしたりと、食材のホームグラウンドに入り込み、現在は「すし作家」として海、魚、すし、海藻にまつわる様々な活動をしている。『やりたいことは、やってみる。』これが岡田大介の基本理念です。

著書に写真絵本『おすしやさんにいらっしゃい!生きものが食べものになるまで』、文庫『すし本  海から上がって酢飯にのるまで』。