【REPORT】シーウィードキャンプ2024.03
よく晴れた3月に、静岡県西伊豆町で「シーウィードキャンプ」を開催しました。シーウィードキャンプは、“海藻で、海も人もすこやかに”というシーベジタブルのコンセプトのもと、海藻の生産や研究・料理開発に携わる人々と、海藻に関する若手研究者や、海藻に携わる仕事に関心のある若者とが交流しながら、これからの社会における海藻の可能性を探求するプログラムです。
乾燥わかめがきっかけで海藻に興味を持ったという中学生、水産学科で学ぶ大学生、水中カメラマンを志すダイバー、食品会社で栄養管理を行う方、料理人など様々なバックグラウンドを持つ方々が参加しました。
3日間にわたるプログラムでは、シーベジタブル生産現場を見学し、第一線で活躍する専門家からレクチャーを受け、一流シェフによる海藻の料理を美味しく味わってもらいました。海藻を取り巻く海の課題を知るだけではなく、海藻の魅力や可能性を体験してもらうことが狙いです。
シーウィードキャンプの舞台となった静岡県西伊豆町は、シーベジタブルの海藻の生産・研究拠点があります。2022年6月頃から、西伊豆町の田子湾で海藻の生産を行い、2023年冬には小さな研究拠点を立ち上げました。水産学科で学ぶ学生と言えども、普段なかなか海のフィールドに出て海藻について学べる機会は多くありません。地下海水を用いて大きな水槽で海藻を育てる陸上栽培モデルと研究室の試験管では圧倒的にスケールが異なり、参加者からたくさんの質問が飛び交いました。
陸上栽培で育てているすじ青のりは、生でほとんど流通していません。その場で口に入れると、絹糸のような柔らかな食感とシャキッとした歯応えを味わえます。
陸上栽培の拠点の次は、海面栽培をしている田子湾付近を見学しました。海面栽培とは、海面に張ったロープに何種類もの海藻を繁茂させることで、人工的な藻場をつくり出しています。海面に藻場が浮いているため、ウニやアイゴからの食害から免れることができます。
これまでの歴史では、海面でワカメや海苔、昆布といった需要の高い海藻しか栽培されてきませんでした。しかし、育てにくいと言われてきた品種の海藻でも、育たなかった原因を研究し、その原因を解決する方法で栽培すれば、順調に生育することができます。海藻は海中の生態系ピラミッドの中で一番下の段に位置付けられ、生物多様性を維持するのに重要な役割を担っています。藻場があることで、海藻植物プランクトンの産卵・繁殖が促され、その周辺に魚が集まることで、結果的に海の多様性を支えることに貢献しています。
西伊豆町の拠点メンバーの伊東茉由(通称:おまゆ)から、普段の生産現場の様子や、地元の漁師さんとの連携などを話しました。日々、海藻の生育を見守りながら研究を行う他、シーベジタブルのWebサイトで海藻にまつわるコラムを執筆しています。
もずくの食べ比べの記事は、こちら。
トサカノリの特徴やヒミツにせまった記事は、こちら。
生産現場の見学後は宿に戻り、3名の専門家から、海で起きている最前線の研究結果や、知られざる海藻の生態に迫る講義を受けました。
藻場について国内トップのリサーチャーの一人である、東京海洋大学・藤田大介さんからは、生態系における藻場の重要性や今後取り組むべき課題についてお話いただきました。また、徳島大学大学院講師・堤理恵さんからは、栄養学の観点から海藻の栄養について学びました。
海藻研究所所長でシーベジタブル海藻生態担当でもある新井章吾さんは、藻場回復に繋がる0次産業についてお話いただきました。新井さんは海を潜り続けて40年以上。日本だけでなく、世界における海藻研究の第一人者として海藻を知り尽くした海藻博士です。
ちなみに、新井さんはこれまで膨大な海藻の標本を作成していますが、その中から選りすぐって、シーベジタブルで『海藻押し葉』のカードを作りました。シーベジタブルのショッピングサイトでギフトボックスを購入する際には、ぜひメッセージカードとしてお使いください。こちらは、1981年採取のトサカノリです。
キャンプの楽しみの一つといえば、食事! シーウィードキャンプらしく、海藻の特徴を引き出した料理が参加者にもてなされました。厨房で腕を振るうのは、シーベジタブルのテストキッチンを率いる石坂秀威と、キッチンメンバーの濱田航です。シーベジタブルを代表するすじ青のりや、ハバノリ、トサカノリ、もずくといった海藻のポテンシャルを十二分に発揮した料理の数々に、参加者は驚いた表情を見せたり、わっと笑顔になったりしながら、いただきました。
私たちは、今回のシーベジタブルキャンプを通して、海藻の若手研究者や、海の活動を行う仲間とたくさん出会うことができましたが、参加者同士でもよい刺激が生まれたようです。海藻食は世界で注目されている一方で、藻類の研究者は驚くほど少なく年々減少しています。今回のイベントに参加し同じ領域に関心を持つ仲間と出会えたことで、連日、夜遅くまで互いの研究領域について議論したり、好きな海藻愛を語る姿があちこちで見られました。
シーベジタブルは、海藻が激減する海の生態系を豊かに育みながら、海藻の食文化をつくることに取り組んでいますが、それは一社だけでは実現できません。共に取り組む漁師さんや事業者の方々、社内外の料理人や専門家の皆さんと一緒に、これからも活動を続けていきます。
▶︎シーベジタブルの海藻は、こちらからご購入いただけます
▶︎飲食店・食料品店のみなさまは、卸販売専用サイトをご用意しております
シーウィードキャンプの様子は、伊豆下田経済新聞でも取り上げていただきました。▶︎記事はこちら