海藻が持つ栄養素を徹底紹介。“海藻”の力で、毎日おいしく健康を
日々の食事と私たちの健康は密接に関わっています。
皆さんは普段、健康のためにどんなことに気をつけて過ごしていますか?
いざ、体にいい食事を摂ろうとすると、実際にどんな食材を選んだらいいのか悩むことはありませんか?
そこで活躍してくれるのが“海藻”です。
海藻は、低脂肪でヘルシーなだけでなく、食物繊維・ミネラル・ビタミン・たんぱく質が豊富で、不足しやすい栄養素を効率よく摂れる食材です。更には陸上植物にはない、海藻からしか得られない嬉しい栄養や機能があることが分かってきています。
ここでは、海藻の一般的な栄養と、海藻ならではの健康機能についてご紹介します。
<Index>
1. 腸内から全身の健康を整える 「食物繊維」の宝庫 2.海の恵み 体の調子を整える「ミネラル」たっぷり 3.微量でも体に必要な「ビタミン」 4.良質な「たんぱく質」 5.低脂肪で低カロリー 微量でも高品質の脂質 |
1. 腸内から全身の健康を整える「食物繊維」の宝庫
|豊富な水溶性食物繊維
海藻のネバネバ・ヌルヌル成分、この正体は、腸内で優れた働きをする「水溶性食物繊維」です。
今では健康に不可欠となった食物繊維ですが、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。
海藻のすごいところはこの両方が含まれており、水溶性食物繊維を多く含むことです。海藻は激しい波に揺られながら育つので、弾力があり柔軟な体を持つために水溶性食物繊維を多く含んでいると言われています。
栄養面での大事なポイントは、不溶性・水溶性のどちらか一方を摂取するのではなく、両方をバランスよく補うこと。普段の食生活では水溶性が不足しがちなので意識して摂る必要があります。
ここで海藻の出番です。食物繊維は、水溶性と不溶性で働きが異なるので、食材の一つに海藻を取り入れることが、栄養バランスを整えるコツとなります。
| 小鉢1杯分で、1日の10%の食物繊維
食物繊維は、整腸作用など身体の中で有用な働きをすることが注目され、第6の栄養素と呼ばれています。
海藻には、平均して43%*¹の食物繊維が含まれていて、小鉢1杯分(乾燥5g)で2gほどの食物繊維を摂取することができます。一日あたりの目標量*²に対して、約10%前後摂れることになり、食物繊維の貴重な供給源と言えます。
*¹ 乾燥藻体での平均値(参考文献:発酵原料としての利用を視野とした海藻草類の収集と成分調査|三好ら(2013),水産技術)
*²目標量:生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。食物繊維の1日当たりの目標量は18~64歳で男性21g以上、女性18g以上
|海藻ならでは 水溶性食物繊維の嬉しい機能
海藻の水溶性食物繊維には、陸上の植物には一般的には含まれないと言われる、フコイダン、アルギン酸、ラムナン硫酸、ポルフィランなどがあります。
これらは「免疫力アップ」「血糖値・血圧の上昇を抑える」「コレステロール値を下げる」「肝機能をよくする」「抗酸化作用」「抗炎症作用」など、健康面で様々な優れた特性が期待されています。
2. 海の恵み 体の調子を整える「ミネラル」たっぷり
海水中で育つ海藻には、鉄、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ヨウ素など、体の調子を整える様々なミネラルが豊富に含まれています。
ミネラルはそれぞれに大切な働きがありますので、ご紹介していきます。
|鉄分
アオノリやノリなどに多く含まれます。
アオノリには、1g中に0.8㎎もの鉄が含まれており、これは鉄含有量が多いことで知られるほうれん草1食分(0.6㎎/可食部70g中)と同等以上もの鉄を摂取できる優れた海藻です。アオノリを料理に一振りするだけで効率よく栄養補給ができます。
鉄の吸収率を上げるビタミンCやたんぱく質などと一緒に摂ることもお勧めです。
|カルシウム
カルシウムが多い食品といえば牛乳ですが、実は海藻に含まれるカルシウムは牛乳よりも多いのです。
例えば、ヒジキには牛乳の9倍ものカルシウム*が含まれています。
その他、コンブ、ワカメ、アオノリなどにも多く含まれています。
一方で、海藻にはカルシウムの吸収を阻害するリンが少ないこともメリットになります。
現代の食生活では、カルシウムは不足しがちですが、肉・魚・インスタント食品・加工食品など幅広い食品に含まれるリンは摂取過剰傾向にあります。海藻はリンの含有量が少ないため、食事全体のバランスを整えるという意味からも、優れたカルシウム源と言えるでしょう。
*食品標準成分表(第八訂)参照
可食部100g中に含まれるカルシウム(ほしひじきステンレス乾/普通牛乳)
|カリウム
ヒジキやコンブ、アオノリなどに多く含まれています。野菜や果物にも多く含まれることが知られていますが、海藻に含まれる量は圧倒的に多く、少ない量でも手軽にカリウムを補給できる食材です。
腎臓の病気がある方は、摂取量の制限が必要です。主治医に相談しましょう。
|マグネシウム
マグネシウムはあまり馴染みがないかもしれませんが、実は全身の働きに関わっています。現代の食生活では、不足気味ですので、意識して摂取したい栄養素の一つです。
食品100g中に含まれるマグネシウム量は、他の食品群と比較すると海藻類に非常に多く含まれています。マグネシウムを多く含む食品上位20位内*では、海藻がほとんどを占めています。
*参考:食品成分データベース
|ヨウ素
コンブやヒジキ、ワカメなどに多く含まれます。
ヨウ素は全身の代謝を高める「甲状腺ホルモン」の材料となり、子供の成長や新陳代謝の促進に欠かせないホルモンです。
※ヨウ素は、不足しても長期的な過剰摂取でも甲状腺の機能を低下させてしまうと言われています。健康な人が日常食べるくらいの量や、たまに多く食べる程度であれば、ほとんど問題はないと考えられていますので、適量を摂取しましょう。
3. 微量でも体に必要な「ビタミン」
海藻には、皮膚や粘膜を強化して目の健康を保つ働きのあるビタミンA、骨にカルシウムを沈着することを助けるビタミンK、不足すると精神的不安定や運動神経低下をもたらすビタミンB1、その他ビタミンB2、ナイアシン、葉酸などが含まれています。
海藻の種類により、含まれるビタミンの種類はそれぞれ異なりますが、野菜にも負けない量のビタミンが含まれています。
4. 良質なたんぱく質
海藻の中にはたんぱく質が豊富なものもあります。食品100g中に含まれるたんぱく質は、大豆34gに対して、海藻のアマノリに41g、アオノリに29g*¹ものたんぱく質が含まれています。
また、不足しやすい種類の必須アミノ酸*²もバランス良く含まれており、アミノ酸スコア*³が高いことも特徴で、ワカメは100、アマノリは91あります。肉や魚・卵・大豆にも匹敵する数値です。
海藻を取り入れて、食事全体から摂取するたんぱく質のバランスを整えていきましょう。
*¹食品標準成分表(第八訂)
*²必須アミノ酸:人のたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で十分に合成できない9種類のアミノ酸
*³アミノ酸スコア:たんぱく質の『質』がわかる数値。食品のたんぱく質に必須アミノ酸がバランスよく含まれているかを数値で表したもの
5. 低脂肪で低カロリー 微量でも高品質の脂質
海藻に含まれる脂質は少なくヘルシーな食材ですが、そのわずかな脂質でも質が良いのが特徴です。
脂質のおもな構成成分である「脂肪酸」には積極的に摂った方がいいと言われるものがあります。
海藻は、不飽和脂肪酸のEPA・DHAを含み、これも海の生き物特有の体に嬉しい脂肪酸です。
〈期待されている効果〉
EPA:血中の中性脂肪を減らし、動脈硬化などを予防したり、血栓ができるのを防ぐ。
DHA:血管系の病気を予防したり、脳や神経の機能を向上させる。
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