【サンドイッチハウス メルヘン】タルタルソースで海藻の余韻を味わう
合同会社シーベジタブル 共同代表 友廣裕一
株式会社メルヘン 専務取締役 土肥幸さん
株式会社三越伊勢丹 三越日本橋本店第1営業部 洋総菜ベーカリー バイヤー 福本毅さん
店内厨房で生み出す、懐石料理のようなサンドイッチ
土肥:〈メルヘン〉は創業42年のサンドイッチ専門店。フルーツサンドから惣菜のサンドイッチを含めて、常時、約30~40種類を店頭に並べています。旬の食材も取り入れながら、年間で約300種類のサンドイッチを販売しています。
〈メルヘン〉のサンドイッチは、日本人好みのレシピで作るサンドイッチがコンセプト。食べたあとに余韻が残る懐石料理のようなサンドイッチをつくりたいという社長の想いがあり、優しい味付けでまた食べたくなるサンドイッチ作りをめざしています。私たちの強みは店内厨房があること。それぞれの店長に商品開発を任せることで、多くの新しい商品を生み出してきました。
― 今回のテーマは海藻と聞いた時、どんな印象でしたか?
土肥:海藻をメインにすることは難しいけれど、サンドイッチは「和」の食材にも応用がきくので、海藻を使ったものはできると思いました。サンドイッチは水分が禁物なので、今回は乾燥したすじ青のりを選びました。シーベジタブルさんのすじ青のりは、香りが良くて本当においしいですね。
福本:〈メルヘン〉さんの場合、それぞれのお店の店長さんにある程度の裁量が任されていて、店頭のお客様や現場のことを熟知されています。具体的にどんな商品がお客様に喜ばれるのかをイメージして作っていただける。それが〈メルヘン〉さんの強みだと思うので、今回の企画でお声がけをさせていただきました。
試食会でも絶賛、すじ青のりのタルタルソース
― 使う素材や見映え、味わい、食感の組み合わせなど、サンドイッチは奥が深いですね。今回は、2つのサンドイッチを作っていただきました。
土肥:シーベジタブルのパートナーシェフの岡田大介さんに試作品を食べていただく試食会でも大好評でした。すじ青のりとタルタルソースの組み合わせがあまりにもおいしかったので、サーモンフライサンドも作りました。すじ青のりは和風にも合うので、サーモンフライサンドではソースを醤油にアレンジしています。
今の季節はガパオや鯖(さば)、チョコミントのサンドイッチなども販売しています。水分が多いものやドライフルーツのように固くて噛み切れないもの以外であれば、和風、洋風、スイーツなど、どんなジャンルの食材もはさめるので組み合わせは無限にあります。
*岡田大介さんと試作品を食べながら意見交換。
土肥:どんな食材もサンドイッチにできますが、お客様が想像できる食材の組み合わせでなければ、サンドイッチは選んでいただけません。店頭で買っていただくには見映えも重要です。パッと見て、手に取っていただけるインパクトがあるものをつくりたいと思いました。
今回、開発したメニューは、すじ青のりを入れた特製タルタルソースを使った「タマゴとハムチーズのサンド」と「サーモンフライサンド」です。最初の段階では、お店で人気ナンバーワンの卵サラダにすじ青のりを混ぜてみたのですがインパクトが足りなくて。具もチーズやきゅうりをはさむのか、レタスやキャベツがいいのか。卵の切り方はどうするか?見た目や味のバランスなど、試行錯誤を重ねました。その結果、今回は卵サラダではなく、半分に切ったゆで卵を使うことに。すじ青のりをアクセントに入れた特製タルタルソースとゆで卵を一緒にパンに挟むことで、断面も映えるサンドイッチになりました。
福本:サンドイッチの封を開けた瞬間に香りますからね。
海藻のおいしさを知らないのはもったいない
福本:この企画が始まった当初、海藻といえばサステナビリティが切り口かなと思っていました。海藻というテーマをどう表現したらいいのだろうか?と。今年5月にみなさんの説明を聞いて、いろいろな種類の海藻を試食させていただいたとき、海藻のおいしさにあらためて気づいたんです。今回はサステナビリティのことを語るよりも、「海藻っておいしい!」ということをどうやって知ってもらうかという切り口がたぶん正解だと思いました。
実際に海藻を試食させていただいて、海藻の可能性を再発見できたのは大きな意味があったと思います。わかめのしゃぶしゃぶを初めて食べた時以来の驚きというか。まず、自分がおお!と感動して腹落ちしなければ、そのすばらしさを取引先の方々やお客さまにお伝えすることはできませんからね。
友廣: SDGsの観点からシーベジタブルや海藻に興味を持たれる方もいらっしゃいますが、僕たちはおいしい海藻を食べてほしいという想いのほうが強くて。海藻はおいしいということを何よりも伝えたいと思ってくださることがとても嬉しいです。
ー 最後に「EAT & MEET SEA VEGETABLE 」に向けて意気込みを一言
土肥:私たちが自信を持って作ったサンドイッチですので、お客様にぜひ手に取っていただきたいですね。将来的には全店舗で展開していきたい商品が完成したと思っています。頑張って作りましたので、今回のオンリーエムアイでたくさんのお客様に召し上がっていただけることを期待しています。
福本:今回、海藻がテーマではありますが、海藻の可能性やサステナビリティとか、あまりおおげさに構える必要はないと思うんですよ。こういう海藻の使い方をするとおいしいサンドイッチができるとか、身近なところで少しずつ間口を広げてお客様にもお伝えできたら。海藻がひとつのツールとなって、それが結果的に海藻のおいしさに気づいてもらえるきっかけになれば一番いいと思います。