三越伊勢丹「EAT & MEET SEA VEGETABLE」

〜はじまりの物語〜【前編】

日本橋三越本店と伊勢丹新宿店で、海藻の新たな食体験を通じてその可能性に触れることができるフェア「EAT & MEET SEA VEGETABLE」が開催されます。

総勢120店舗以上がシーベジタブルの海藻を使って商品を開発するという、海藻の新たな歴史をつくるようなフェアは、どのようにはじまったのか?仕掛け人の、株式会社三越伊勢丹 真野重雄さん、井上孝さん、右原洋平さんと共に、シーベジタブルの友廣裕一が振り返ります。

新宿と日本橋の食品バイヤーたち20名で西伊豆にあるシーベジタブルの生産拠点に訪れたときが一つの転換点。企画の立役者である真野さんが放った一言に、友廣が思わず唸ります。「ー 価値のあるものを追求する百貨店として、他の人たちができないことをやるのが自分たちの役割 ―」そのメッセージの真意に迫ります。

【後編】〜「おいしい」の合言葉と「たのしい」の熱量で広がる海藻の世界〜>>

>話し手

右原洋平さん(株式会社三越伊勢丹 三越日本橋本店 第1営業部(食品) 商品担当)
井上孝さん(株式会社三越伊勢丹 三越日本橋本店 第1営業部(食品) 洋菓子バイヤー)
真野重雄さん(株式会社三越伊勢丹 第1MDグループ 新宿食品・レストラン商品部 生鮮・グローサリー バイヤー)
友廣裕一(合同会社シーベジタブル 共同代表)

きっかけは伊勢丹新宿店の「サロン・デュ・ショコラ」

友廣:「EAT & MEET SEA VEGETABLE」は、トップダウンではなく、真野さんをはじめ、三越伊勢丹の皆さんの共感を得て現場から生まれたものです。伊勢丹新宿店と日本橋三越本店の食品バイヤー複数でタッグを組むことはこれまでに一度もありませんでした。なぜこのような大きなフェアが実現できたのかを発信することで、さらに仲間になってくれる方に出会えたらと思っています。この企画は、真野さんが「サロン・デュ・ショコラ」でシーベジタブルに声をかけてくださったところから始まりましたよね。

真野:もともとは伊勢丹新宿店の「サロン・デュ・ショコラ」というイベントの中で、海藻とカカオの組み合わせを表現していただくところからスタートしました。その後は、食料品フロアでの催事販売を何度かやっていただいたのですが、お客様にもとても評判が良かったです。

今回の取り組みも、この流れの中にありますが、もっと海藻を世に広める価値があると感じました。僕たちは百貨店として、食品の商売を続けていますが、この先10年後、20年後の「食」の未来に対して漠然とした不安を抱えていました。

真野:そのような中で、百貨店というある意味矛盾を抱えているような場所でどのように価値創造を進めていくべきかを考えていたところ、友廣さんから、シーベジタブルさんの取り組みやビジョンを伺う機会がありました。日本の食文化や海の生態系の復活、食材としての海藻の可能性など、さまざまな切り口があることがわかったんです。「これは面白い素材だな」と感じたのがきっかけです。

企画を実現するにあたり、僕の担当領域だけではなかなか難しいと感じました。伊勢丹新宿店のみならず日本橋三越本店でも同時に開催することでインパクトが高まるのではないかというのが最初のイメージですね。

― 右原さんと井上さんは、今回の企画の構想を真野さんから聞いたとき、どのような印象を受けましたか?

井上:私は洋菓子の担当をしていて、「サロン・デュ・ショコラ」でシーベジタブルさんに出店いただいた現場も拝見していました。そのため、海藻と洋菓子の組み合わせはすんなり受け入れることができた部分はあります。ただ、全体で進める際には、どのくらいの取り組み先が共感してくれるのか、また海藻の使い方に対する不安もありました。

その後、2024年2月末にシーベジタブルのテストキッチンに新宿と日本橋のメンバーが集まり、シーベジタブルの料理開発担当でシェフの石坂秀威さんから、海藻のいろいろな可能性を具体的に見せていただきました。そこで、各担当バイヤーもイメージすることができたので、ワクワクしながら取り組むことができました。

右原:私も「サロン・デュ・ショコラ」での取り組みは知っていましたが、実際に現場で食べる機会はなく、「話題になっているな」という程度の認識しかありませんでした。真野さんの呼びかけで実施した勉強会で、洋菓子担当、催事で海外展を担当しているバイヤー、生鮮担当者など多様なメンバーが集まっていたので、共に海藻料理の試食を通じて、いろいろなアイデアを出すことができました。それが、「オンリー・エムアイ」の全カテゴリーに波及させるきっかけになりました。

*オンリー・エムアイ:三越伊勢丹グループのオリジナル企画で半年に一度催される。「EAT & MEET SEA VEGETABLE」は、2024年秋のオンリー・エムアイ企画の一つとして、総勢120店舗以上、170商品以上の海藻料理やスイーツなど開発。

― 多くの方々の共感を得ながら企画が進んでいきました。三越伊勢丹の中では、どのようにコミュニケーションをとっていったのでしょうか?

井上:一番大きかったのは、シーベジタブルさんからオンラインで海藻に関する勉強会を開催していただいたことです。取り組み先の方々と、三越伊勢丹両店のバイヤー全員が参加したのですが、あの場をセッティングいただいたことで、各バイヤーがスムーズに企画に入っていくことができました。これまでも、共通の素材やテーマでイベント商品開発を実施したことがありましたが、シーベジタブルさんの海藻に触れる機会を何度も持てたことが、これまでとは異なる点だと思います。

真野:西伊豆でシーベジタブルの海藻の生産現場を見せていただく機会をつくっていただいたことで、メンバーの中に食材としての海藻の可能性や、素材そのものへの関心、シーベジタブルさんの取り組みへの共感などが芽生えていきました。

真野:西伊豆の拠点に行ったときも、海面と陸上の生産現場を見せていただいた後、集会所の会議室で意見交換の時間を持ったのです。入社して10年経っていないような若手のメンバーも多くいましたが、非常に良いフィードバックをしてくれました。実際、現場を見る機会は本当に少ないのです。例えば、店舗で共通の素材として栗を使う場合、栗の農家さんと直接話をするところまでいけるかというと、そう簡単にはいきません。今回のシーベジタブルさんとの取り組みで、海藻を理解するために実施してくれたステップが良く、ここまでしないと熱意が生まれにくいことがわかり、私たちも勉強になりました。

― 西伊豆の生産拠点で、初めてシーベジタブルの海藻を試食した若手のメンバーの反応や、そこでは、どのような意見交換がなされたのでしょうか?

真野:実際の現場を見せてもらうために船を出していただきましたが、その際にお昼ご飯として、特別に地元のお店に依頼して用意していただいた海藻のお弁当がありました。それが本当に素晴らしくて、海藻の魅力を感じられる特注弁当でした。さすがだなと思いましたし、これが本当のおもてなしだと感じました。お弁当を通じて現場に来た若いメンバーたちも非常にテンションが上がっていましたね。その結果、「この海藻はこういうものにも使えるよね」「あれにも使えるよね」と、各担当の中で置き換えができたのではないかと思います。そういった反応を踏まえた議論の中で、すごく前向きな意見交換ができたと記憶しています。

右原:シーベジタブルさんの陸上栽培の拠点で、すじ青のりを見せていただいたとき、若手のメンバーが現場を目の当たりにしてすごく感動して、一気にテンションが上がったのを感じました。また、シーベジタブルの現場で働いている若いメンバーが案内してくれましたが、その2人が、非常に高い熱意を持ってプレゼンしてくれたことが、私たちに強く響いたと思います。

生の海藻をお湯でしゃぶしゃぶして食べるのは非常にライブ感があって、印象的だったと思います。若手メンバーだけでなく全員で盛り上がりましたね。その時からバイヤーたちの目の色が変わったように記憶していますね。

友廣:三越伊勢丹の皆さんが、時間が経つごとに、熱量が上がっていったことが印象的です。最初はオンラインでのレクチャーから始まり、その後、2日間の海藻料理の試食会で35名のバイヤーさんが来てくださってからの西伊豆ツアーでしたよね。

現場まで来ていただいて、皆さんの熱量が一気に上がりましたが、その過程を一緒に歩ませてもらったのがとてもうれしかったです。特に、西伊豆ツアーの最後の振り返りの際に皆さんが「海藻の意義はわかったけど、それをお客さんに伝えるのは難しい」という率直な感想を伝えてくれたときに、真野さんが、「難しいから俺たちがやる意味があるんじゃないか」と言ってくれました。これがすごくしびれる一言で。

友廣:「新しい価値をつくる百貨店として、いつもお客さんに驚きを与えないといけないし、社会に必要なことを先んじて取り組む存在でありたい。そういう意味で、海藻はピッタリで、他の人たちができないことをやるのが自分たちの役割ではないか」と言ってくれました。

「難しいからやめる」ではなくて、「難しいからこそ自分たちはやらないといけないんだ」と思わせてくれたときに、バイヤーさんたちのモードが変わった気がしました。若干僕の意訳が入っているかもしれませんが、これをどこかで伝えたいと思っていました(笑)。

真野:僕たちは直接ものを作ることはできないので、本当に意味のある取り組みをいち早くキャッチして、一緒に伴走していくというのが小売りの重要な役割だと思います。そういう意味では、「海藻は、絶対にうちが先にやりたい」と思いました。

友廣:小売業という川下から本気で「社会を良くできる」と感じられるような、今回のような大きな動きは、これまであまりなかったのではないかと思います。でも、実は三越伊勢丹の中にはそういう想いを持っている方がたくさんいて、今回、川下から社会をよりよく変えていきたいという想いに火が灯ったのかなと感じました。

真野:意義のあることをしっかりやっていかないと、次の10年、20年にはつながっていかないという不安感がありました。そんな時に友廣さんと出会えたことで、非常に良いきっかけをいただいたと感じています。

>真野重雄さん
伊勢丹新宿店 生鮮・グローサリー担当バイヤー。入社以来、食品畑一筋。趣味は食旅。生産者である人やその土に触れること、その土地ならではの素材や食文化・食風土を感じることが生きがい。座右の銘は、「百聞は一見にしかず」。興味のある食は必ず「自分の目で見る、味わう」ことを大切にしている。

>井上孝さん
入社以来、新宿・府中・大阪・銀座店で、長年菓子バイヤーを務め、23年度より日本橋店洋菓子バイヤーに着任。常設店舗だけでなく、日本全国の多くのパティシエやシェフとの交流がある。

>右原洋平さん
入社2年目より新宿店食品担当として洋菓子・生鮮担当などの商品担当を務め、23年度より日本橋店食品フロアの計画業務を行う商品担当に着任。主な業務は食品フロアのリニューアル計画を担う。

ー 開催概要 ー


伊勢丹新宿店

2024年9月18(水)〜10月1日(火)
*シーベジタブルの特別ブース出店は9月18日(水)~24日(火)まで

東京都新宿区新宿3-14-1
伊勢丹新宿店 本館地下1階 食料品

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日本橋三越本店

2024年9月25日(水)〜10月8日(火)
*シーベジタブルの特別ブース出店は10月2日(水)~8日(火)まで

東京都中央区日本橋室町1-4-1
日本橋三越本店 本館地下1階 食料品

詳しくはこちら

\100個限定!特別セットを販売/

【EAT & MEET SEA VEGETABLE】の開催を記念した特別セットを、シーベジタブル公式オンラインストアだけで限定販売。

今回初お披露目となる、海藻の手描きイラストが入ったオリジナル風呂敷をはじめ、定番商品のすじ青のりや、八幡屋礒五郎さんとコラボレーションしたオリジナルのすじ青のり七味などがセットになりました。

数量限定販売のため、ぜひお早めにお買い求めください。

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