【ロダス】本場のクロテッドクリームが際立つ、海藻の存在感
合同会社シーベジタブル 共同代表 友廣裕一
株式会社MANGOS マーケティング部 企画営業 マネージャー 藤原敦子さん
株式会社三越伊勢丹 第1MDグループ 新宿食品・レストラン商品部 洋菓子アシスタントバイヤー 小山理奈さん
〈ロダス〉発祥の地にも、海藻の食文化がある
藤原:株式会社MANGOS(マンゴーズ)は、今回ご紹介する〈ロダス〉のほかに、オーガニックの食品卸業をしています。〈ロダス〉は英国の老舗乳製品メーカーで、クロテッドクリームのシェアは世界ナンバーワンです。英国の五つ星ホテルのほとんどは、アフタヌーンティーで〈ロダス〉のクロテッドクリームを使っています。日本には〈ロダス〉のペイストリーショップが3店舗ありまして、クロテッドクリームやスコーン、ショートブレッドなど、イギリスの伝統的なペイストリーを販売しています。
ー 今回は海藻がテーマの企画ですが、当初の反応はいかがでしたか?
藤原:それほど違和感はありませんでしたね。〈ロダス〉の発祥の地は、英国のコーンウォール地方。イングランド南西部の先端にある海辺の町です。英国では、さまざまな種類の海藻もとれるので、それらを使ったクラッカーやビスケットがあり、料理にも使われています。私たちもイベントで、バターに青のりなどの海藻を入れたロブスターロールのクラッカーを提供したことがありまして。それがとてもおいしかったので、海藻と乳製品は絶対に合うと思いました。
ー今回、商品開発された「シーベジスコーン」で、すじ青のりを選んだのはなぜですか?
藤原:すじ青のりを選んだ理由は、使いやすさです。スコーンに入れる海藻は乾燥したものに限られるので、弊社のシェフに聞いて一番使いやすいものにしました。スコーンを焼く場合、例えば、季節のメロンなど生のフルーツは使えなくて。ドライフルーツも使えるものと使えないものがあります。塩味系(サレ系)のスコーンを販売するのは、私たちも初めての取り組みです。最初はシーソルトショートブレッドを考えていたのですが、クッキーは他のお店にもありそうなのでスコーンにしました。
海藻スコーンは、肉料理にもおすすめ
藤原:すじ青のりのスコーンは、クロテッドクリームをたっぷり塗ったほうがおいしくておすすめです。紅茶といただくよりも、お肉料理と一緒に食べたいパンのような感覚ですね。今回、塩味系のスコーンにチャレンジしてみて、海藻はクリームと圧倒的に相性が良いと思いました。
ー スコーンといえば、アフタヌーンティーで紅茶といただくイメージがありましたが、食事でお肉と組み合わせるのは意外な発見ですね。
藤原:新しい食べ方の提案ができます。スコーンに海藻のミネラルや食物繊維などの栄養分もさらにプラスされるので。
友廣:海藻はとても栄養価が高いんですよ。海藻に含まれるタンパク質は約30%。鉄分はほうれん草の約64倍で、あらゆる食材のなかでも鉄分が多いのではないかと。カルシウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルも豊富です。今は健康志向の方が多くて、なるべくおいしくて身体に良いものを食べたいというニーズもあると思います。そういう意味でも、海藻との掛け合わせが楽しみですね。
藤原:海藻には可能性があると思いますし、私たちも勉強になります。
友廣:シーベジタブルのすじ青のりは、見た目や香り、食感や口どけの良さもおすすめです。実際に商品化される場合、加熱すると香りが飛びやすいとか、使う素材とのバランスなど、難しかった点はありましたか?
藤原:何度か試作したのですが、スコーンに入れるすじ青のりの分量と塩加減のバランスが難しいですね。パッと見ただけでは海藻が入っていることがわかりづらいので、すじ青のりの量をもう少し増やして海藻の風味をもっと出したほうがいいかなと。見た目も映えるように、スコーンの表面には岩塩をアクセントに使っています。
当初は、チーズとすじ青のりの組み合わせはどうか?というアイデアもありました。でも、実際に試作するとチーズの風味のほうが強すぎてしまう。暑い季節は素材が劣化する可能性が高い点も心配で、今回の商品化は見送りましたが、チーズと海藻の相性は良かったですね。例えば、スコーンを型抜きしたあとの生地を使って、クッキーのように小さく切って焼くとか。脱酸素剤を入れて袋詰めできるような焼菓子ならば、チーズ入りでもいろいろな可能性が広がるという話もありました。
相思相愛の「海藻」×「クロテッドクリーム」
友廣:スタートの時点から、海藻と乳製品は絶対に合うという発想が同期されているケースは、なかなかないですね。クリームたっぷりの海藻スコーン、早く食べたいです。
ー 最後に「EAT & MEET SEA VEGETABLE 」に向けて意気込みを一言
藤原:オンリーエムアイ*はお客様の注目度が高いので、店頭でもアプローチしやすく、新たな食べ方の提案ができます。私たちはクロテッドクリームを主役と考えて、それに合うスコーンを作っています。だから例えば、私たちがカレー味のスコーンを作ったとしても、 〈ロダス〉のクリームには合わないでしょう。スコーンはクロテッドクリームを乗せる土台のようなもの。塩味系のスコーンならば、うちのクリームには海藻が一番合うのではないかと思いました。
友廣:ありがとうございます。乳製品と相性が良い海藻は他にもたくさんあるので、海藻の新たな可能性や掛け合わせを今後も一緒に生み出していけたら嬉しいです。
小山:試食会のとき、海藻は乳製品にきっと合うと思いました。ただ、それがどんなカタチになるのか想像できていなかったのですが、 〈ロダス〉さんにお声がけしようと決めたのもそのときでした。今回のフェアをきっかけに、新たな出会いや新たな発想が生まれることが一番嬉しいですね。お客様にも海藻の魅力を知っていただいて、お取引先やお店の方々とのご縁をつなぐのが私たちの仕事だと思っています。これまでバイヤーとしてさまざまな商品開発に携わってきましたが、海藻とのコラボレーションは初めてです。塩味系の商品開発も初めてなので、販売するのがとても楽しみです。